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なまえをよんで

いつもにこにこした 
優しい雰囲気の彼女
良妻賢母で 仕事もしっかりこなし
おもいやりも深い

なのに
いつも張り詰めた空気がぐるぐると
彼女をとりまいているように
私には見える

息すら させまいとするくらいの
膜のように



その彼女が今日のおきゃくさん

便宜上 D音ちゃんとよぶ


オーラソーマのセッションは 
いつもどおり
たんたんとにこやかに 
一見すすんでいき


終わりの時間がきて D音ちゃんはたちあがり



「 1月末からセッションするようになって みんなから前よりさらにあかるくなったね!っていわれるようになったんです! 」 
                                   

・・・と精一杯の笑顔でわたしにいいました




でも わたしは 
D音ちゃんの笑顔は帰りの車の中で
はぁぁぁぁ~~~とため息とともに肩をもむような類のソレとかんじていた




うなずきながら D音ちゃんにたのまれていたオーダーブレスを
彼女の腕に はめてあげました




「 うわああああ!
きれい~かわいい~!!
わたし水色やピンクやラベンダーの
パステルカラーが大好きなんですよおおおお!! 」


「 なんでこの色ってわかったんですかあああ!?!? 」



「 みてください!
このポーチもおにゅーのバッグも 
ほら 同じ色でしょでしょ? 」



「 すぅごーーーいすごーいー
シンクロってやつですかああ?」




わたしは「 ううん 」




え!?
(鳩豆顔のD音ちゃん やっと沈黙 




「 D音ちゃんのブレス 
つくるときにずっとその色の渦が頭ン中でまわってたんだよねー 」



んんん?( ちょっと不思議そうな顔になったD音ちゃん )



そのブレス はめた瞬間に 
「 えっと・・・ 」くちごもるわたし



ななな、なんですなんです?( 笑顔をキープしつつ目がらんらんのD音ちゃん )





わたしはおもいきっていってみた



「 男の子・・なのかな?
うーん 
そのこが なまえをよんでってさ 
なんだろね?
んーま、気にしないで 」






……


あれ?



「 おい!おいおいD音ちゃん!?どしたー?」





完全フリーズD音ちゃん・・・






あ・・・




たおれる?




人がひざからくずれる姿を はじめてみました




すみませんすみません!とふるえる小さな声で連呼しながら畳につっぷして泣きはじめた彼女



やがて すみません から



ゆるしてゆるしてゆるしてええええええええええ!!!という叫びにも似た号泣にかわりました





わたしの胸にも 
きーーーーーーーーーーーんとした痛みがはしりました



「 うん、なまえ なまえよんでよ いますぐ 」と よくわからんが伝えるわたし





D音ちゃんは 
息も絶え絶えなかんじで



男の子らしきなまえを 
つぶやきました



なんどもなんども




彼女が名前をよぶたび わたしの胸はしめつけられるようにくるしく

わたしもいつの間にか
泣いていました






それは夏祭りの記憶でした

ピンクや水色やむらさきのヨーヨー


まだ幼かった彼女は
2歳のおとうとのヨーヨーをはしゃいで
ボールのように なげました



おとうとさんは 子犬のように
ヨーヨーをはしっておっていったのでしょう



バックしてきたトラックにのみこまれるとは しらずに・・・



そんな残酷な運命の歯車があるなんて
しるよしもない幼いふたりのきょうだい



4歳の女の子が背負うにはあまりにおもい おもすぎる




D音ちゃんは そのとき 生きるために それを忘れることを選択したのかもしれません


そうしないと とても 生きていけないと おさなごころに感じたのかもしれません




それが 今の笑顔で平穏なD音ちゃんという ひとつのシェルターをつくりあげたんじゃないかな




だけど たましいは ノックした



くるしくてもなんでもいいから しりたかった


いや おもいだしたかった




だから わたしのもとへきたんだろう




今日のセレクトボトルのキーは
ターコイズ





「 わたしは だれ? 」






泣きすぎて はれた目の 
D音ちゃんは

うそんこ笑顔じゃなく

やわらかい けど ちからつよい 
笑顔をみせて かえっていきました








ありがとう おとうとくん 
おしえてくれて






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